気づけばその人はそこにおりました。
ぼくは、18かそのころ。バンドしてた友達に連れられてそのマンションに行きました。そしたら、その人はそこにおりました。自己紹介したかもよく覚えてないけど。なんだか、ハラがヘッタとか言ってその人は、トーストを焼き、オリーブオイルに浸けたトマトのスライスをのせ、ワインとともに食しておりました。あ、この人は不思議だよ。ぼくはそう思いました。
部屋の隅にはワープロがありました。まだ、パソコンが普及してない頃だったから、それもおもしろかった。「でも、こわれてるんだ。」って。
その後、何度かそのマンションに行く間に、その人とバンドをやってて、長いことやったけど、なんでかライブは3、4回くらいしかやんなかった。カバーばっかで、でも、オリジナルもちょこっとあった。
深夜にもう、寝るぞってなると、レコードでDogs D' Amourの「More Unchartered Heights Of Disgrace」をそこそこの大音量でかけてくれたのを覚えてる。
その後、その人は小さなアパートに引っ越して、ぼくは、やっぱりちょくちょくあそびに行って、革ジャンの背中にスパーダーマン描かれたり(?)、バイクをバイト先で改造したり、やっぱり、バンドしてた。朝までバンド名考えて、ふらふらになったり、いつもテレビは映画が流れてた。「恋する惑星」が多かったかな。
ぼくが仕事で東京に行ったら、その人も偶然東京で仕事してて、週末にはいっつも、いっつもバイク乗って、飲んでた。バイクの話しして、飲んでた。なんか、知らんバイクの人らも集まって、おもしろかった。ビールはなくて、カルロロッシのなんだかでっかいやつか、ウォッカとトマトジュースばっかり。はじめて、そのへんてこりんなバイクのやからと飲んだのは新宿で、やっぱり頼んだのはウォッカとトマトジュースとピーナッツだけで、なんだかやたら飲んでゴキゲンで帰ったの覚えてる。もう、そんなのいやだけど。
富士急ハイランドにバイクで行って、たけくも後ろに乗って、ギターウルフとバックヤードベイビーズ(ゲストでマイケル・モンローとファスタープッシーキャットのブレント・マスカットも出てたよ)とミッシェルガンエレファントを1曲観て、帰りの峠の飲み屋であやうく居座りそうになるところをなんとか我にかえって家に帰ったり。
最近は3年くらい前に、その当時、その人がやってた池袋のバーで一緒にアコースティックライブやった。ストーンズとかソーシャルディストーションとかやった。セイラージェリーってラムを飲んで、おいしかった。家に泊めてもらって、昼ごろマクドナルド食べて、じゃあね、またね、て。
今年、誕生日におめでとうってメールきた。
それっきり。
なにしてんのかなぁ。